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2019年6月22日 (土)

古染付けの気持ち

わたし達は1600年代初頭、明の時代に作られた焼き物だ。江戸時代の日本でたいそう愛され、仲間共々海をわたり日本にやってきた。

そして今月のとある雨の土曜、私たちの持ち主が開いていた古伊万里の講座に参加したりきまる某という女性に買われここにきたのだ。

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もともと古伊万里とは、私たち古染付けを真似して日本で作られたものだ。講座で比較のため古伊万里の横に置かれた私たちを、やけに熱心に見ていたおばさ いや女性がりきまる某だった。

「ひとめぼれしました。」と言って買ってくれたようである。

私たちの絵の線は緩く、釜傷が多く、形も歪んでいるのであるが。

正確な轆轤で完璧な円形、歪みのない線で似たような皿を再現しても、きっと日本人は好まないだろう。そんな美意識の日本人を私たちは好ましく思っている。

とあれ私たちはりきまる某に、

はなまる

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つきまる

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と名付けられ、ここでの生活がスタートした。新しい生活が我々も楽しみであったのだ。

 

しかし!初めてはなまるが盛り付けに使われた場面がこれである。

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セブンイレブンという袋から取り出したパッケージには『いかめんたい』とある。

仮にも我々は江戸時代、大名や大きな商家で大切に使われてきた身!!あまりの安い扱われ方に大いに衝撃を受けてしまい、はなまるはがっくりと肩を落としていた。

 

翌日、りきまる某がうきうきと何かを切っている。なんでも畑で初収穫の大好物なんだそうで。

期待高まる中つきまるに盛られたのは、『もろきゅう』という、安居酒屋のメニューではないか!

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到着するなり我々のプライドはずたずたである。(涙)なんという家にやって来てしまったのだ。。!

 

しかし洗って拭く度、嬉しそうににやにや我々を眺めているりきまる某を見ていたら、このおばさんの寂しい食生活を、我々の高貴さで補ってやるかという使命感もまた沸いてくるのである。

 

今宵はやはり初収穫というじゃがいもがはなまるの上に盛られている。

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技もなにもない料理だけど、彼女にとっては特別な食材、そして収穫を祝う食卓だそうだ。

嬉しそうに写真を撮るりきまる某を見ていると、われわれもつられて笑顔になるが。

 

まあ、たまには我々ににあうすてきな料理を作ってもらいたいものであると心から願っている。

[りきまる某からのコメント]

古染付とは、明代末期の1621年~1644年という短い期間に、景徳鎮で焼かれた焼き物です。民窯で焼かれた粗製なつくりなので、窯傷やゆがみが沢山あるんですが、そこも含め当時の日本人愛され大流行し、沢山日本に輸出されました。多彩な形状や絵付けで今でも人気です。でも中国本土ではほぼ残存ゼロというのも不思議な器でもあります。

その中でも選りすぐりの素晴らしい逸品は、コレクターや美術館の収集対象となっていますが、流通しているものにもなかなか楽しいものがたくさんあります。

何気なく手に取るそれらは、400年もの長い年月を生きてきました。この災害だらけの日本列島で、地震・津波・戦争を逃れ、たくさんの人々の手を経て現代の私たちの手元に届いているものなんです。

私には知りようもない長い長い歴史、持ち主の変遷を見てきたのだと思うと、お皿を手に取る度畏敬の念に駆られてしまうんですけれど。


酔っぱらって自宅二次会だーって時、手近にあったお皿にいか明太をざらざらっと開けたら、「マジ?オレにそれ、盛る?!」ってお皿の悲しそうな声が聞こえましたよ。(だからあわててベランダの大葉を敷いたじゃん。)

この宴会多忙期が過ぎたら、お皿に相応しい素敵な和食をちゃんと作るから待っててねと、はなまるつきまるに心で詫びる日々です。

 

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