茶碗の中の宇宙
毎回マンネリを楽しむわたしの京都旅定番の場所のひとつがこの、樂美術館。
大学時代茶道研究会にいたので、多少茶の湯の心得があるわたし。樂茶碗が大好きなのだ。
今日の展示はめずらしく茶碗でなく器が多い。これもまた良いなあと眺めていて
はっ!と、先日日曜美術館で樂家代々の大がかりな展示会をやっていたのではと気づいた。
美術館入り口で頼まれていたアンケートを渡すと、「京都では明日まで。」と言われ割引券を頂いた。
なんとラッキー。そのあと会期は東京に移るが。大掛かりな美術展は東京は混んでしまって落ち着いては見られないのだよね。
その前に美術館近くで遅いお昼。
里芋とお揚げと菊菜入りのあんかけそば。別に有名でもない通りかかりの普通の店だけど、だしがとてもよくて美味しい。
展示会は素晴らしいものだった。
初代の長次郎から続く時の流れの洗礼を経た名品の数々は言うまでもなく。
実は現在の当主である十五代吉左衛門氏の器は、あまり好きではなかったのである。装飾に勝るように感じ、「あれが樂家の茶碗?」という気持ちを長らく持っていた。
しかし今回改めて沢山の作品を間近に見て、その器の持つ有り余るパワーを実感した。
とともに、数年前の器を見てはっとした。代々の『樂らしい』黒樂。そこに従来の激しさが溶け込み、紛れもなく『十五代としての樂』となっていたから。
すべての色を混ぜると「黒」になるがごとく、自分の情熱、個性、伝統を混ぜ合わせながら、伝統の形に収斂させかつ個性を表現する。そんな姿に感動していた。
春から東京で開催される。混んでいてももう一度見に行きたいなと思う。
| 固定リンク
コメント