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2011年11月26日 (土)

番外編 : 今日は、森にいます

普通の人々がニッポンの森林や木々に対して持っているイメージって、どんななのだろう。
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『日本の国土の約7割は山だ。日本には豊かな森が広がっている。』

とか、

『Co2排出を補完する大切な存在である木は、切らずに大切に保存しなくてはいけない。』

とか、

『日本の材木は高く、海外からの安い輸入材に負けてしまい、使われていない。』

とか。そんなところであろうか。

今回の授業で、自分も信じてきたこれら全てが間違いであることを知り、のっけから頭をガツンとやられたのである。

暗い森、
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木や草でもしゃもしゃの森。
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りきまるがドライブに行くと普通に目にする森の景色である。

今日案内してくれるのは、農大出身の青木社長率いる東京チェンソーズ。
檜原村を拠点に活動する、若き林業家の集団だ。

彼らの作業を見学するため、山に入るのだ。

川を渡るための渡し場を補強していただく。
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水はあくまでも清い。が、
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「野生動物が増えすぎているので、飲まない方がいいです。」
のだそうである。
青木さんの先導で山に入る。
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ものすごい急坂をわしわしと標高500mくらいの尾根付近まで上がる。

枝打ち作業を見せて頂く。
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立っているのが大変な急斜面に植わっている木々。

木に梯子をかけて、   ひー。。こわーい。。
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下から枝を落としていく。

伐採に比べて地味な作業だが、無駄な枝がなくなった瞬間、さあっと光が差し込み実に気分がいい。

そう言うと、青木社長は「でしょう?!」と嬉しそうに笑う。

梯子を使わない技も見せていただく。
この場合枝を梯子代わりにして、上から枝を落としていくのだ。
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青木社長、ウエアやメット、かっこいいすね。スゥエーデン製。誤ってチェンソーで足を切ってしまう事故を避けるため、特殊繊維がチェンソーの刃を巻き込み止めてくれる。かっこだけでなく、実用性も兼ね備えたものだ。
若い人たちが森に入るには、こんな事も大切だと思う。

枝打ちには、太い枝は鋸、そうでないものは手斧を使い
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スパッと切る。
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これを適切な時期にやると、節のない美しい木材となる。
が。
最近は無節の木が節だらけの木よりさほど値がつかないのだそうだ。
つまり、金をかけてもリターンがないのだから、山主さんも木の手入れをしない。

すると、暗い森で育つ木は十分に根を張れず、ちょっとした雨風で倒れたりする。
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倒木は急斜面の土を削る。

土を削られた山の保水力は低下して、災害も多くなる可能性が出るのだ。

実は木や草が生えることのできる『土壌』と言うものは、何億年もかけてようやっとできた、たった数10センチの層である。
これがはぎ取られたら、草も木も、まともに生きていくことはできないのだ。

実は日本の森林の7割は、人工林である。
杉だろうが、最近植樹で人気の広葉樹だろうが、一度人の手が入った森は、人の手を入れ、定期的に更新(伐採と再植林です。)しないと山が荒れてしまうそうだ。

実は戦後すぐは、日本の山の木はことごとく伐採され、戦後の需要に応えようとしても出来なかったのだ。だから外材を使用した。

戦後一生懸命植えた木が、出荷し頃になった時、今度は国内の樹木を売買する商流がなくなり、山の作業に金が支払われない。だから結果、山に金が回らず手入れもされなくなった。

檜原村の資料館で見た、昔の山の作業風景。
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この頃山で働くのは、いいお金になった。
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誇らしげな山の男たちの写真が展示されている。

が。
今はと言うと。。

40年育てた木を、山に生えている状態で売ると、一本がなんと千円!
それはもう、ビジネスではないよね。。

木に価値がないのではない。搬出ができないからだ。
歩くことも辛いほどの急坂にでの伐採。
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(檜原の山の平均斜度は30~40度だそうな。。)
道のない山からの搬出。

でもちゃんと出荷し、『森林保全』でなく『利用としての森林』を求めていきたいという青木さんの言葉に同意する。
森にお金がまわる仕組みが必要だ。

彼らが整備した森。
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隅々まで光の差し込む美しい森。

日本中の森がこんな美しい森になったら。。日本ってとても素敵な処になるんじゃあないだろうか  と思うりきまるでありました。。

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コメント

おはようございます。森の管理は光を管理することだと言われますが、子供の成長と同じように成長に合わせて施業することが大切です。森を家族と考えて、若い人が立ち上げた森林施業をする会社を応援することで、次の世代に森を引き継ぐことになればと思ってます。多くの人が、りきまるさんのように森に行ってみる気持ちになってもらえるといいですね。

投稿: まあちゃん | 2011年12月20日 (火) 09時22分

いやあ、とてもすばらしい記事でした。
日本の森林の過去と現在と未来について、
とてもよくまとまっていて、講義を受けた
ような気分です。勉強になりました。
ありがとうございました。

(珍しく、誤字脱字もないし(笑))

投稿: nyu- | 2011年12月20日 (火) 12時55分

りきまるさん、こんにちは。たらです。
りきまるさんが農業や林業など、人と自然の関わりのことについて関心が高いことを、いつもうれしい気持ちで拝見しています。だんだんそういう記事が増えてきましたよね。
今回は林業との関わりにおいてスギ林をたずねられていますが、人工のスギ林は、いわばスギの木の畑のようなものです。自分が人間である以上、そして都市生活を送っている以上、人の暮らしなしに自然のことを語ってもしようのないことですが、もしできることなら自然の森をたずねてみてください。自然の森の豊かさってすばらしいですよ。
いずれにしても自然と人間は、もっとよい関係になれるといいですよね。
すみません、今回は固いコメントになってしまいました。

投稿: たら | 2011年12月21日 (水) 13時50分

まあちゃんさん、コメントありがとうございます。
食と農を巡る長い旅をしてきたら、『遂にここにたどり着いた』思いで、森の講義を受けました。
森は酸素を放出するだけでなく、水を蓄え、川を生み出す大切な場所なんですよね。
森を守り森を育てる事は、人間が生きて行くための原点なのだと思いました。
今日みたいな寒い日も、山に入り働く人達がいることを知ったことは大切な事だと。
誰もが捨てて、忘れ去られていた山に、若い彼らがあえて職場として選んだことは本当に偉いなあー。。と思いました。
みんなで応援したいですね。

nyu-さん、
いや、やはり一カ所誤字が。。(笑)

りきまるのこのテーマに対する熱い思い、伝わりました?(^_^)
今でも時々、「あー、みんな、今日も山にいるんだ。。」と思い出したりしています。


たらさん、
一昨年小菅村のマタギさんたちと山に入った時、彼らが「山栄え、獣栄え、そして、人が栄える。でも今はそのバランスが崩れている。人だけが栄えると言うことは有り得ない。」と言っていたことを思いだし、ああ、こういうことか。。。と改めて実感しました。

二年半ほど、食と農、自然や環境、飢餓などにまつわる色んな分野に首を突っ込んで来ましたが、今回は『完結編』な気持ちです。
一回りして、さて自分はこれから何をしようか。。と思案中です。

にしても、森は良いですねー。。
杉の畑、まさに納得。(笑)
機会を見つけて是非、美しい自然林に行ってみたいと思います!

投稿: りきまる | 2011年12月22日 (木) 08時49分

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