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2007年10月30日 (火)

さよなら、TOTO

その店は銀座、博品館の裏にあった。
古いビルの地下一階。目印は入り口に『スミノフ』と書かれた、お隣のバーの看板。
狭くて急な階段を下りて右手にあった。

ある秋、いつものように知人とその店に向かった。

いつもの通り、階段を下りて右手の古い扉を開くと、扉の前のカウンター座った人が振り返った。びっくりした顔でりきまるを見ていた。
半年前に一度だけ会ったその人との再会した瞬間だった。(私はその人のことをすっかり忘れていたけれど。)

その人のことを好きになった。そのあとずーっと長いこと好きだった。

その店での不思議な再会は、その後二人の楽しい思い出として、よく話題に上ることになった。

店の名前はTOTO。
カウンターだけの小さなバー。
低い天井のその店で飲んでいると、なんだか深い深い海の底にいるような気がした。

ぎっしり並んだ酒瓶、古い飾り、トイレの扉。
氷を削る音、シェーカーの音、常連さんの笑い声、マスターと話すその人の声。
ショットグラスで飲む、島のお酒。
すべてがはっきりと思い出せるのになあ。。。



今日、再開発のため閉店したと聞かされた。

あんなバーは二度と会えないと思う。時間が磨き上げた昭和の名もなき店。

さよなら、TOTO。

なくなったのは、お店ではなくて、りきまるの中の大切な思い出なのだ。

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